Aをした後にBをするという表現に「Vてから〜」と「Vた上で〜 / Nの上で〜」という表現がありますね。
例えば、次のような文です。
・こちらの用紙に記入してから、お申し込みください。
・こちらの用紙に記入した上で、お申し込みください。
どちらも、申し込み用紙に必要事項を書くという行為が終わってから、申し込んでくださいという意味を表す文ですが、どういった違いがあるのでしょうか。
今回は「~てから」と「~た上で」の違いについて見ていきましょう。
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「~てから」と「~た上で / 〜の上で」の違い
では、次の例文を見てください。
(1) 朝ごはんを食べてから、学校に来ました。
(2) 朝ごはんを食べた上で、学校に来ました。
どちらも「朝ごはんを食べる」という行為をしてから、「学校へ来る」という行為を行う表現ですね。
上の文の場合、皆さんはどちらの文を使いますか?
(2)を使う人はいないですね。全員が(1)でしょう。
では、次の場合はどうでしょうか。
(3) もう疲れたのでシャワーを浴びてから、寝ます。
(4) もう疲れたのでシャワーを浴びた上で、寝ます。
今度どうでしょうか。
今度も先ほどの例文と似たようなもので、(4)の文は少し不自然ですね。
では、もう1つ見てみましょう。
契約書にサインする場面で・・・
(5) 内容をご確認の上、こちらに署名をお願いします。
(6) 内容をご確認してから、こちらに署名をお願いします。
今度はどうでしょうか。
どちらも正しいように見えるかもしれませんが、「の上(で)」の方が、ちょっと丁寧に聞こえませんか?
例文からもわかる通りに、「〜た上で / 〜の上で」という日常生活のことを言う時にはほとんど使われず、何かイベントの案内、仕事の募集、書類への記入などで使われることが多い硬い表現なのです。
「〜た上で / 〜の上で」は少し硬い表現で、日常生活のことを言う時には使われない。
では、次の例文はどうでしょうか。
(7) チャイムがなってから、試験を始めてください。
(8) チャイムがなった上で、試験を初めてください。
この例文は、日常生活のことではないですよね。
でも、「〜た上で」を使った例文はちょっと違和感がありますよね?
どうして、この例文の場合「〜てから」がいいのでしょうか?少し考えてみましょう。(ヒント:動詞の種類)
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実は、「〜た上で」で使える動詞は「意志動詞」という決まりがあります。
意志動詞の詳しい説明はここではしませんが、簡単に言うと自分でコントロールできる動詞です。
上の例文の「チャイムが鳴る」は自分でコントロールできないですよね?「鳴ってください」と言えば鳴りますか?
そのため、「鳴る」は意志動詞ではないため、「〜た上で」の文型と接続できません。
「〜た上で」は意志動詞と接続する。
まとめ
今回は「〜てから」と「〜た上で / 〜の上で)」の違いについて紹介しました。
違いをまとめると次のようになります。
- 「〜た上で / 〜の上で」は日常の会話では使わない。少し硬い表現。
- 「〜た上で」は意志動詞と接続する。