時間の前後関係表す文型に「〜あとで」と「〜てから」という文型がありますね。
例えば、次のような文です。
・勉強してからシャワーを浴びます。
・勉強したあとでシャワーを浴びます。
どちらも正しい文型で「勉強する」→「シャワーを浴びる」と言うように行為の順序を表していますが、この2つの文型にはどういった違いがあるのでしょうか。
日本語を勉強している学習者だけでなく、日本語を教えている日本語教師であっても2つの違いを理解するのが難しい文型です。
そこで、今回はこの「〜あとで」と「〜てから」の違いを確認しましょう。
「〜あとで」と「〜てから」の違い
まず冒頭の2つの文ですが、どちらも正しい文であることはわかると思います。
では、次のような文はどうでしょうか。
(手を洗わずご飯を食べようとしている子供に対する母親の発言)
(1) 手を洗ったあとで、食べなさい。
(2) 手を洗ってから、食べなさい。
この例文はどちらが正しいでしょうか。
どちらも文法上に間違いなさそうですが、「どちらの方が自然か」で考えると(2)の方が自然ですよね。
では、もう1つ例文を見てみましょう。
(チケットを買わず遊園地に入ろうとしている子供に対する母親の発言)
(3) チケットを買っあとでよ。
(4) チケットを買ってからよ。
上記の文はどちらが自然な文でしょうか。
この例でも(2)の「〜てから」を使った文が自然ですね。
では、どうして例文(1)〜(4)では「〜あとで」を使うと不自然になるのでしょうか。
実は「~てから」は、多くの場合「後文のことが起こる条件として、まず前文のことが起こる必要がある」と言う時に使われます。
つまり言い換えると、「前文」は「後文」の準備であり、「後文」のためには「前文」は必要であるということを表します。
先ほどの例を見ると「手を洗ってから、食べなさい」は「食べる」ための準備として「手を洗う」ことが必要であり、「チケットを買ってからよ。」は「中に入る」ための準備(条件)として、「チケットを買う」必要があることを述べています。
では、冒頭の「勉強してからシャワーを浴びます。/ 勉強したあとでシャワーを浴びます。」に関してはどうでしょうか。
これらの文はどちらも時間の前後関係を表しているだけですね。
そのため、単に時間の前後関係を表す場合であれば「〜てから」、「〜あとで」の両方が使えることになります。
まとめ
- 単に時間の前後関係を表す場合はどちらも使用可。
- 「後文」のためには「前文」は必要である(「前文」は「後文」の準備)ことを表したい場合は「〜てから 」が使われる。
上記が今回のまとめになります。
「〜てから」と「〜あとで」の違いは細かく分析すると他にもありますが、まずはこの違いを知っておきましょう。
また機会があれば他の違いについても追記あるいは別の記事で紹介します。