日本語には、ある行為をしてから、あまり時間が経過していないことを表す文型として「~たばかり」と「~たところ」という2つの文型がありますね。
例えば、以下のような文です。
(1) さっき起きたばかりだから、まだ眠いよ。
(2) さっき起きたところだから、まだ眠いよ。
(1)と(2)はどちらも同じ意味を表す文ですが、文によっては、「〜たばかり」しか使えないような場合もあります。
我々、日本人はあまり意識することなく、普段の生活の中でこれらの文型を使い分けているわけですが、みなさんはこの2つの違いを説明できますか。
今回はこの2つの類似文型「~たばかり」と「~たところ」の違いを学習しましょう。
なっとく知っとく初級文型50―はじめて日本語を教える人のための
「〜たばかり」と「〜たところ」の違い
では早速、違いを理解するために、以下の例文を見てください。
(3) 去年、英会話の勉強を始めたばかりなので、まだまだ上手じゃありません。
(4) 去年、英会話の勉強を始めたところなので、まだまだ上手じゃありません。
みなさんなら、どちらの文型を使いますか?
多くの人が(3)の「始めたばかり」の文型を選ぶと思います。
こんな風に感じられた方もいるかもしれませんが、実は「ばかり」は話し手が短いと感じたかどうかが問題で、実時間はあまり重要ではありません。
ですから、話し手が短いと感じれば「〜たばかり」を使うことができるのです。
一方で、「〜たところ」は時間がかなり経過していることには使えません。ですから、去年のことについて話している例文(4)は不自然な文となります。
「〜たところ」:〜のすぐあと。〜してからの時間が短い。
「〜たばかり」:実時間は関係ない。話し手が短いと感じるか否か。
では、次のような文はどうでしょうか。
(5) これは昨日、買ったばかりの靴です。
(6) これは昨日、買ったところの靴です。
今度も「たところ」を使った(6)の文が不自然ですね。
今回はどちらも「昨日」なので、時間はあまり経っていないことになりますが、「ばかり」と「ところ」の後ろの単語に注目してください。
さっきの例文とは違い、名詞「靴」と接続していますね。
実は「たところ」は名詞と接続して「〜たところの名詞」とすることができません。
ですから、(6)は不自然な文になります。
「〜たところ」は名詞と接続できない。
まとめ
今回はある行為をしてから、あまり時間が経過していないことを表す文型「〜たばかり」と「〜たところ」の違いを紹介しました。
違いを比べてみると、「〜たばかり」はかなり万能な文型だということがわかりますね。
最後に2つの文型の違いを以下にまとめておきます。
- 「〜たところ」:〜のすぐあと。〜してからの時間が短い。
「〜たばかり」:実時間は関係ない。話し手が短いと感じるか否か。 - 「〜たところ」は名詞と接続できない。
ex. × これは昨日買ったところの服です。
外国人に日本語を教えている方は、違いを質問されたら説明してあげましょう。