イメージされる内容と実際の内容が食い違っている場合に使われる日本語表現として「~わりに」と「~にしては」という2つの表現がありますね。
例えば、次のような文です。
・彼はラグビー選手にしては、体が小さいね。
・彼はラグビー選手のわりに、体が小さいね。
どちらも、「ラグビー選手」という言葉から、がっちりした大きな体であることが想像できますが、実際は思った以上に小さいということを表現する文です。
「~にしても」と「~わりに」は、どちらもほとんど同じ意味を表す文型なので、上記の場合どちらも正しい文になります。
でも、それだと日本語を勉強している外国人から「じゃあ、違いは何ですか?」と聞かれたら、答えることができないですよね。
そこで、今回は「~にしても」と「~わりに」は一体何が違うのか確認することにしましょう。
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「~わりに」と「~にしては」の違い
では、次の例文を見てください。
(1) 13歳のわりに、少し老けて見える。
(2) 13歳にしては、少し老けて見える。
どちらも「13歳」という年齢から、見た目は子供らしい顔であることが想像できるが、実際に見てみると30代、40代など老けて見えることを表す文ですね。
上の文の場合、どちらも正しい文で同じ意味を表します。
では、次の場合はどうでしょうか。
(3) 年齢のわりに、若く見える。
(4) 年齢にしては、若く見える。
今度どうでしょうか。例文は先ほどと似たような物ですが、(4)の文が少し不自然だと感じませんか。
では、もう1つ見てみましょう。
(5) 田中さんは身長のわりに、軽すぎじゃない?。
(6) 田中さんは身長にしては、軽い。
この例文でも「~にしては」を使って(6)が不自然ですね。
じゃあ、どういった場合に「~にしては」が使えないのでしょうか。
実は、「~にしては」と名詞が接続する場合は「年齢」や「身長」など抽象度が高い名詞を使うことができません。
そのため、「~にしては」使いたい場合は「15歳」や「180cm」など具体的な数値が必要になります。
まとめ
今回は「〜のわりに」と「〜にしては」の違いについて紹介しました。
違いをまとめると以下のようになります。
- 意味はどちらもほとんど同じ
- 「~にしては」には抽象度が高い名詞と接続できない。