日本語の条件文は「〜と」、「〜ば」、「〜たら」、「〜なら」と複数あってややこしいので、一度それらの違いをまとめてみることにしました。
「〜と」の意味・特徴
「〜と」は機械の使い方を説明したり、道案内するような場面でよく使われます。
実際、「みんなの日本語」でもそういった場面が提示されていますね。
また「必ず起こる」というニュアンスで使われるので、ほぼ確実に起こる習慣的な事柄に使われます。
- 春になると桜が咲きます。
- 右に曲がると病院があります。
「〜と」は「必ず起こる」というニュアンスがあるので、仮定条件では使えません。
❌ 100万円当たると、ハワイへ旅行に行きます。
以下のような文型は、使えません。
- 〜ましょう
- 〜ましょうか
- 〜ませんか
- 〜てください
- 〜しなければならない
- 〜たほうがいい
- 〜したい
❌ 仕事が早く終わると、飲みに行きましょう。
❌ 忙しいと、手伝いましょうか。
❌ 時間があると、一緒に映画を見ませんか?
❌ その角を曲がると、まっすぐ行ってください。
以上が「〜と」の特徴です。
ポイントまとめると次のようになります。
- 機械の使い方を説明したり、道案内するような場面でよく使う。
- 実現性が低い場合(仮定条件)は使えない。
- 働きかけの表現や意志を含む表現と一緒には使えない。
「〜たら」の意味・特徴
「〜たら」は、実現性の高い場合・低い場合のどちらでも使えます。
- もし100万円当たったら、何をしますか?
- 天気がよかったら、出かけます。
また、話し言葉でよく使われるので、論文などを書くときは使いません。
「〜と」では使えなかった「働きかけの表現」、「意志を含む表現」も「〜たら」の場合は使えます。
⭕️ 早く仕事が終わったら、飲みに行きませんか?
⭕️ その角を曲がったら、まっすぐ行ってください。
以上が「〜たら」の特徴です。
ポイントまとめると次のようになります。
- 実現性の高い場合・低い場合のどちらでも使える。
- 話し言葉としてよく使う。
- 働きかけの表現や意志を含む表現と一緒に使える。
「〜たら」の使用範囲は他の条件文に比べると広いので、いくら考えてもどれを使えば良いのかわからないといった場合は「〜たら」を使うといいでしょう。
「〜ば」の意味・特徴
「〜ば」は、「〜たら」と同様に実現性の高い場合・低い場合のどちらでも使えます。
- 春になれば桜が咲きます。
- その本は紀伊國屋へ行けば、買えますよ。
「〜たら」に比べると少し改まった表現で、ことわざにも使われます。
- 三人よれば文殊の知恵。
- 塵も積もれば山となる。
また、後件には傾向として、良い結果が来ることが多いです。ただし、これは必ずそうなるということではありません。
⭕️ この道を通れば、安全です。
❓ この道を通れば、危険です。
以上が「〜ば」の特徴です。
ポイントまとめると次のようになります。
- 実現性の高い場合・低い場合のどちらでも使える。
- 「〜たら」に比べると少し改まった表現。
- ことわざにも使われます。
- 後件には傾向として、良い結果が来ることが多い。
「〜なら」の意味・特徴
「〜なら」は実現性の低い場合に使います。
「おそらく実現できないが、仮にできるのであれば」というニュアンスが含まれます。
⭕️ もし東京大学に合格できるなら、なんだってする。
❌ 春になるなら、花が咲きます。
「働きかけの表現」、「意志を含む表現」も「〜なら」の場合は使えます。
⭕️ 行けるなら行きたい。
⭕️ 嫌なら嫌ってきちんと言ったほうがいいですよ。
⭕️ 家が近いなら一緒に帰りませんか。
⭕️ もし何か知っていることがあるなら、なんでもいいので教えてください。
以上が「〜なら」の特徴です。
ポイントまとめると次のようになります。
- 実現性の低い場合に使える。
- 働きかけの表現や意志を含む表現と一緒に使える。
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