日本語には似た表現がたくさんありますね。
「場合」と「〜とき / 〜たら」もその1つでしょう。
外国人に日本語を教えている場合は初級の後半で登場する「場合」という文型ですが、必ずといっていいほど「〜とき/〜たら」の違いを質問されます。
あなたはこれらの文型の違いを理解し、説明できていますか?
置き換え可能なことも多く、かなり似ているので、そのニュアンスの違いを伝えるのはとても大変でしょう。
そこで、このページでは「〜場合」と「〜とき / 〜たら」の基本的な違いについて解説していきたいと思います。
「〜場合」ってどんな文型?
「場合」は起こりうる可能性の中から1つの事態を取り上げて、その事態が起きた時に必要な対応を述べる文型です。
つまり、起こりえないことについては言うことができませんし、すでに起こった出来事について使うこともできません。
また、「場合」は「地震、火事、災害」など、あまりよくないことについて話すときに使うことが多い傾向にあります。
以上を踏まえて「たら」、「とき」との違いを見てみましょう。
「〜場合」と「〜たら」の違い
「場合」は「起こりうる可能性」について述べる文型なので、次のような例文ではどちらも正しいです。
⭕️台風が来たら、休校にします。
⭕️台風が来た場合、休校にします。
しかし、起こりえない出来事について述べる場合は、「場合」を使うことができず「たら」のみになります。
⭕️どこでもドアがあったら、いつでも好きな場所へ行けるんだけどなぁ。
❌どこでもドアがあった場合、いつでも好きな場所へ行けるんだけどなぁ。
⭕️猫になれたら、毎日ずっと寝ていられるのに。
❌猫になれた場合、毎日ずっと寝ていられるのに。
- 起こりうる可能性について話すときは、置き換え可能。
- 起こりえない可能性について話すときは、「たら」しか使えない。
「〜場合」と「〜とき」の違い
続いて、「場合」と「とき」ですが、想定される事態が起こり、その対処の仕方について述べるのであれば、どちらも置き換えて言うことができます。
⭕️ 交通事故にあったときは、すぐに警察に電話をしましょう。
⭕️ 交通事故にあった場合は、すぐに警察に電話しましょう。
しかし、次の文のように単に事実を述べているだけの文では「場合」を使うことはできません。
⭕️ 子供のとき、よく家族と旅行しました。
❌ 子供の場合、よく家族と旅行しました。
⭕️家に帰るときに、彼女に会いました。
❌家に帰る場合、彼女に会いました。
- 想定される事態が起こり、その対処の仕方について述べるのであれば、どちらも置き換え可能。
- 単に事実について述べているときは、「とき」しか使えない。
まとめ
- 起こりえない出来事には使うことができない。
- 実際に起こった出来事にも使うこともできない。
- 地震や津波など、あまりよくないことに使うことが多い。
- 想定される出来事や、その出来事が起こった時の対処について述べるのであれば「たら」や「とき」と置き換えできる。
今回は「〜場合」、「〜とき / たら」の2つの違いについて紹介しました。
みんなの日本語ですと、第45課で登場するので、日本語を教えていらっしゃる先生はきちんと違いを説明できるように準備をしておきましょう。