文型の違い

【日本語の文型】「〜だけ」と「〜しか」の違い

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他に該当するものがないという「限定」を表す文型に「〜だけ」と「〜しか」という表現がありますね。

例えば、次のような文です。

・トムさんは英語だけ話せる。

・トムさんは英語しか話せない。

どちらも、トムさんという人物が話せる言語は英語1つであるということを表す限定の文ですが、「だけ」と「しか」はどういった違いがあるのでしょうか。

英語では”only”とだけ訳されているので、日本語を勉強している外国人にとってこれらの違いを理解するのは少し難しいようです。

そこで、今回はこの2つの表現の違いについて見ていきましょう。


「〜だけ」と「〜しか」の違い:文の形の違い

まず、「〜だけ」を使った時の文の形を比べて見ましょう。

「〜しか」「だけ」と「しか」を使った例文をいくつか並べて見ました。

●だけ
・さっき1時間だけ寝ました
・教室にはトムさんだけいました
・ジェームスさんだけ、その問題に答えられませんでした
・ジェシカさんだけ、パーティーに参加しませんでした

●しか
・昨日、1時間しか寝られませんでした
・教室にはトムさんしかいませんでした
・私はアクション映画しか見ません

いかがでしょうか。

「〜だけ」を使った文は肯定文、否定文の2通りの文を作ることができます。

一方で「〜しか」は常に否定文の形をとります。

つまり、「しか」を使って肯定文を作ることはできないのです。

「〜しか」は常に否定の形をとる。

では、もう少し文の形を見てみましょう。

以下に先ほどとは違う例文を並べてみました。

●だけ
・この問題はトムさんだけ答えられました。
・この秘密はトムさんだけ話した。
・今からゲームをしましょう。まず1枚目のプリントだけ見てください。

●しか
・この問題はトムさんしか答えられませんでした。
・この秘密はトムさんにしか話していない。
・今からゲームをしましょう。まず1枚目のプリントしか見ないでください。

上の例文を比べてみると、「だけ」の後ろには格助詞を使うことが可能なことがわかります。

しかし、「しか」の場合、使うことができません。「この問題はトムさんしか」とは言えないですよね。

よって、「だけ」を使う場合、その後に格助詞を使うことができることになります。

「〜だけ」の後に格助詞を使うことができる。

「〜だけ」と「〜しか」の違い:意味の違い

続いて、意味の違いを見ていきましょう。

・昨日、1時間だけ寝ることができた。

・昨日、1時間しか寝ることができなかった。

上の例文はどうでしょうか。

どちらも1時間寝たことを表す例文ですが、例文を見て少しニュアンスが違う気がしますよね。

「しか」を使った文は否定文が使われているせいか、ちょっと残念なニュアンスが伝わってきませんか。

もう1つ例文を見てみましょう。

・私は子供が1人だけいます。

・私は子供が1人しかいません。

先ほどと同じようなタイプの例文ですが、2つを比べていかがでしょうか。

やはり「しか」を使った例文では、本当はもっと欲しいけど、1人しかいないという残念な気持ち、不満に思っている気持ちが伝わってきますよね。

このように「しか」を使った文では数量と一緒に使われる場合、「残念」、「不十分」といったニュアンスが含まれることが多いです。

「〜しか」と数量を一緒に使う場合、「残念」、「不十分」といったニュアンスが含まれる。



まとめ

今回は限定を表す「〜だけ」、「〜しか」の2つの違いについて見てきました。

それぞれの違いについてまとめると以下のようになります。

「〜だけ」と「〜しか」の違い
  1. 「〜しか」は常に否定の形をとる
  2. 「〜だけ」の後に格助詞を使うことができるが「〜しか」の後には使えない。
  3. 「〜しか」と数量を一緒に使う場合、「残念」、「不十分」といったニュアンスが含まれる。

実はもう少し細かく分析すると他にも違いがあるのですが、外国人に日本語を教える際はまず上記の違いについて紹介すると良いと思います。