何かの動作を始めることを表す表現として「~始める」と「~出す」という2つの文型ありますね。
具体例を挙げるなら、次のような文でしょうか。
(1) 最近、フランス語を習い始めたんだ。
(2) さっき電車の中で赤ん坊が泣き出して、本当に困ったよ。
どちらも、動作の開始を表す表現ですが、皆さんはこの2つの表現の違いを理解していますか。
今回は「~始める」と「~出す」の違いを紹介します。
「〜始める」と「〜出す」の違い
では早速、違いを理解するために、以下の例文を見てください。
(3) 突然、子供が飛び出して来たので、ヒヤッとした。
(4) 突然、子供が飛び始めて来たので、ヒヤッとした。
みなさんなら、どちらの文型を使いますか?
全員が(3)を使うと思います。(4)はかなり不自然な文ですね。
では、次の文はどうでしょうか。
(5) バスが急に動き出したので、よろけてしまった。
(6) バスが急に動き始めたので、よろけてしまった。
この文でも「出す」を使った文 (5)を使う人が多のではないでしょうか。
では、例文(3)~(6)の文で共通していることは何でしょうか。少し考えてみましょう。
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わかりましたか?
先ほどの例文の共通点は「突然」や「急に」などの言葉が使われていることです。
つまり、突発性のある動作の場合は「〜始める」よりも「~出す」を使うことが多く、自然な文になります。
一方、動作を開始してから、しばらくの間続く場合は「~始める」の方が自然な文になります。
明日で、雨が降りはじめて一週間が経ちます。
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突発性のある動作の場合、「〜出す」が使われる。
では、次の文はどうでしょうか。
(7) 田中さん、遅いですね。先に食べ出しましょう。
(8) 田中さん、遅いですね。先に食べ始めましょう。
今度は「始める」を使った(8)の文のほうが自然な文ですね。
では、次の文はどうでしょうか。
(9) 来年から、フランス語を勉強し出そうと思っている。
(10) 来年から、フランス語を勉強し始めようと思っている。
この文でも、「始める」を使った文が自然ですね。
では、例文(7)〜(10)で共通している点は何でしょうか。
と、思った方もいると思いますが、「〜出す」は「〜しましょう」や「〜しようと思っている」のように話し手の意志を表す文(意志文と言います)に使うことができません。
先ほどの(7)〜(10)は全て話し手の意志を表す文なので、この場合「〜始める」が適切です。
「〜しましょう」や「〜しようと思っている」のような話し手の意志を表す文では「〜始める」が使われる。
まとめ
今回は何かの動作を始めることを表す文型「~始める」と「~出す」の違いを紹介しました。
最後に2つの文型の違いを以下にまとめておきます。
- 突発性のある動作の場合、「〜出す」が使われる。
- 「〜しましょう」や「〜しようと思っている」のような話し手の意志を表す文では「〜始める」が使われる。
外国人に日本語を教えている方は、違いを質問されたら説明してあげましょう。