日本語には似たような表現がいくつもあり、中級や上級へとレベルが上れば上がるほど複雑になっていきます。
例えば、中級レベルの文型で「向け」と「向き」というものがあるんですが、これらの違いがわかりますか。
・この映画は子供向けの映画だ。
・この映画は子供向きの映画だ。
一見、「どちらも同じじゃないの?」と錯覚してしまいそうになるほど似たような文型ですが、実は2つ別の意味を持っています。
日本語を勉強している外国人の方から、時々、質問されることがあるので今回はこの「向け」と「向き」の違いを確認しましょう。
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「〜向け」と「〜向き」の違い
では、次の例文を比較してみましょう。
(1) このアニメは幼児向けに作られた。
(2) このアニメは大人向きだ。
二つの違いがわかりますか?
(1)の幼児向けのアニメって、例えばどんなアニメでしょうか? 昔話、童話など子供のために作られたアニメを想像しませんか?
実は「〜向け」は特定の人を対象に意図して作られたり、書かれたりされるのに対して使われる表現なんです。
では、(2)の文はどうでしょうか。
大人向きのアニメで考えられるのは、ちょっとグロテスクなシーンがあって、子供が見るにはふさわしくないようなアニメを想像しませんか?
でも、アニメ製作者の意図として、大人を対象に作ったかどうかはわかりませんよね。
実は、この「〜向き」は「〜にちょうど良い」という意味があって、意図したものではなく、話し手がそのアニメを見て、感じたことを述べているだけです。
例文の意味をしっかり考えればわかると思いますが、似たような文型で少しややこしいので、2つの違いをきちんと理解しておきましょう。
まとめ
今回は「〜向け」と「〜向き」の違いについて紹介しました。
違いをまとめると以下のようになります。
- 「〜向け」は特定の人を対象に意図して作られたり、書かれたりされるのに対して使われる表現。
- 「〜向き」は「〜にちょうど良い」という意味。意図したものではなく、話し手が見たいり、聞いたりして、感じたこという時に使う表現。
外国人に日本語を教えていらっしゃる先生の中で、学習者からこれらの違いについて質問が出た場合はきちんと説明できるように準備しておきましょう。