日本の言葉

【日本の言葉】「訪れる」と「訪ねる」の違い

以前、日本語を勉強している学生に「いつか、先生を訪れたいです。」と言われたことがあります。

日本人なら、ほとんどの人が何か違和感を感じるのではないでしょうか。

普通なら「先生を訪れたい」ではなく、「先生を訪ねたい」が正しい言い方ですよね。

でも、「訪れる」と「訪ねる」はどちらも英語に訳すと”visit”を使うため、外国人にとってこの2つの使い方わけは少し難しいようです。

皆さんは、この2つの違いを理解していますか。

今回は「訪れる」と「訪ねる」の違いを考えましょう。

「訪れる」と「訪ねる」の意味は?

まずは、2つの言葉を辞書で調べると次のように書いてありました。

「訪れる」とは

 人やある場所をたずねる。訪問する。「新居を―・れる」

 季節やある状況がやって来る。「夏が―・れる」「やっと平和が―・れた」

 音や声を立てる。

 便りをする。手紙を出す。

出典:goo辞書

「訪ねる」とは

会うためにその人のいる所に行く。ある目的があってわざわざその場所へ行く。訪問する。

出典:goo辞書

2つの意味を比べると「訪れる」は人や場所の他に、季節や状況などがやって来るという表現にも使え、意味の範囲が広そうですね。

また、2つに共通して「人のいる所へ行く」という意味がありますが、「訪ねる」は「ある目的があってわざわざ」行くというニュアンスがありそうですね。

では、次に例文を見ながら意味の違いを確認しましょう。


例文で比較!「訪れる」と「訪ねる」の違い

まずは、人や場所以外に使えるのかどうかをチェックしましょう。

(1) そろそろ冬が訪れますね

(1)’ そろそろ冬が訪ねますね

(2) ついにチャンスが訪れた

(2)’ ついにチャンスが訪ねた

上の文では(1)’と(2)’の「訪ねる」を使った文は違和感がありますね。

例文からわかるように、冬やチャンスなど人や場所ではないものに「訪ねる」を使うことができません。

「訪ねる」は「人」や「場所」以外に使うことができない。

では、「人」や「場所」であれば、どちらも使えるのでしょうか?

次の例文を見てください。

(3) 明日、田中さんを訪れる予定です。

(4) 明日、田中さんを訪ねる予定です。

どちらも田中さんの家に行くという意味を表す文ですが、上の文では「家」を省略しています。

(4)は普段の会話で使う表現ですね。一方で、(3)を使う人は少ないのではないでしょうか。

もし「訪れる」を使う場合は「田中さんの家を訪れる」のように言いませんか?

実は例文のように「訪れる」は「人のいる場所」に使うことができますが、「人」に対しては使うことができません。

「訪れる」は「場所」には使えるが、「人」には使えない。

では、最後に「場所」の場合はどうでしょうか。例文を見てみましょう。

(4) 来週、佐藤さんの家を訪れます。

(5) 来週、佐藤さんの家を訪ねます。

どちらも文法上の誤りはなく、使えそうですね。

人によっては「訪れる」を使う人、「訪ねる」を使う人、別れると思いますが、私は上の例文の場合「訪ねる」を使います。

じゃあ、次の文はどうでしょうか。

(6) 来月、旅行で中国の北京を訪れます。

(7) 来月、旅行で中国の北京を訪ねます。

こちらも、どちらでも言えそうな気がしますが、私としては「訪れます」の方がしっくりきます。

みなさんはいかがでしょうか?

(4)〜(7)はどれも場所へ行くことを表す文ですが、文によって「訪れる」がしっくり来る場合や「訪ねる」がしっくり来る場合があると思います。

文によってどっちがしっくりくるのか別れる理由として、goo辞書の「訪ねる」の意味をもう一度見ていただきたいのですが、「訪ねる」には「ある目的があってわざわざその場所へ行く。」と書いてあるように、目的意識があります。

(4)、(5)の例文では、佐藤さんの家へ行くわけですが、行って話をしたり、テレビを見たり、何か目的があって行くわけですから、私個人としては「訪ねる」がしっくりきました。

一方で、(6)、(7)の文では、旅行という目的はあるものの、もっと具体的に「中国の北京へ友達と会うために行く」とか「美味しい中華料理を求めて行く」といった具体的な目的がはっきりしないため、「訪れる」の方がしっくりきました。

もちろん、人によっては、「北京を訪ねる」の方がしっくりくるという人もいるかもしれませんが、「訪ねる」には目的意識があって、そこへ行くというニュアンスが含まれているので、文によっては「訪ねる」の方がしっくりくる場合あるということを覚えておきましょう。

「訪ねる」はある目的があって、わざわざ行くというニュアンスがある。

まとめ

今回は「訪れる」と「訪ねる」の違いについて、紹介しました。

最後に違いをまとめると以下のようになります。

「訪れる」と「訪ねる」の違いまとめ
  1. 「訪ねる」は「人」や「場所」以外に使うことができない。
  2. 「訪れる」は「場所」には使えるが、「人」には使えない。
  3. 「訪ねる」はある目的があって、わざわざ行くというニュアンスがある。