外国人に日本語を教えていると、文型や言葉の違いを質問されることが多々ありますが、タイトルにある「Vてみる」と「Vようとする」もその1つです。
例えば、「ドアを開けてみる」と「ドアを開けようとする」は何が違いますかというような質問です。
日本人の我々にとって、2つは全然意味が異なるということが容易に理解できますが、英語訳ではどちらも”try”を使って訳されていることが多いため、違いがわからないという学生が時々います。
そこで、今回はこの2つの文型の違いを確認することにしましょう。
「Vてみる」と「Vようとする」の違い
まず、それぞれの意味を確認してみましょう。
「Vてみる」ですが、次のような意味があります。
今までに経験がないことやものに対して何か行動を起こし、それがどんな感じなのか確認する。
もう少し具体例をあげて説明すると、例えば、海外に行くと次の写真のように日本で見たことがないような食べ物ってありますよね。
この写真はバロットと呼ばれるフィリピンのエキゾチックフードの1つなのですが、見ただけでは、これが美味しいのかどうかわかりませんよね。
ですから、試しに食べてみて、それが美味しいか食べたりしますよね。
このように見たことのないものを試しに食べてみて、それがどうか確認する時、「〜てみる」を使って「食べてみる」と表現します。
では、次に「Vようとする」の意味を確認しましょう。
① 意志を持って、行動を試みる直前のことを表す。
② そうしようと頑張っていることを表す。
「Vようとする」2つ意味があります。
まず①の例ですが次の例文を見てください。
信号を渡ろうとしたら、信号が赤に変わった。
これは「信号を渡ろう」と思って、行動を試みるつもりでしたが、「信号を渡る」という行為をする直前に信号が赤になってしまったということになります。
つまり、実際に行動をしようと考えましたが、実際はしなかった / できなかったことを表します。
自転車に乗って角を曲がろうとしたら、子供が飛び出してきました。
こちらの例文も先ほどの文と同じように、「角を曲がろう」と思って、行動を試みるつもりでした。
そして、「角を曲がる」という行為をする直前に子供が飛び出して来たということになります。つまり、実際には「角を曲がる」という行為をしなかった/できなかったということになります。
続いて、②の例文を挙げると、次のようになります。
ドアを開けようとしたが、あかない。
おじいさんが道を渡ろうとしているが、車が多くてなかなか渡れないようだ。
どちらも何かを頑張ってしようとしていることがわかりますね。
では、「Vてみる」の文をと比べてどうでしょうか。
「Vてみる」では実際に経験したことがないことに対して何かアクションを起こして、その物や事がどうなのか感じているのに対して、「Vようとする」は実際には行動を起さなかった(起こせなかった)り、単に頑張っていることを表しているだけでしたね。
このように英語ではどちらも”try”を使う表現ですが、意味は全然異なりますので、日本語を学習している学習者の中で間違った使い方をしている学生がいたら、訂正する必要があります。
まとめ
今回は「Vてみる」と「Vようとする」の違いを紹介しました。
もう一度、意味の違いをまとめておくと次のようになります。
- Vてみる:今までに経験がないことやものに対して何か行動を起こし、それがどんな感じなのか確認する。
- Vようとする:意志を持って、行動を試みる直前のことを表す。 / そうしようと頑張っていることを表す。
外国人に日本語を教えていらっしゃる先生の中で、学習者からこれらの違いについて質問が出た場合はきちんと説明できるように準備しておきましょう。