日本の言葉

【日本の言葉】「わかりません」・「知りません」の違い

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こんにちは。

今回は「わかりません」、「知りません」の違いについて解説します。

英語で直訳すると「わかりません」は「I don’t understand」、知りませんは「I don’t know」となると思いますが、文脈によっては「I don’t know」が「わからない」として使われることもありますよね。

例えば、以下の会話例を見てください。

A:今度の夏休みどこかに行くの?

B:うーん、まだわからないなぁ。

この例のBの「わからない」は「I don’t understand」ではなく、「I don’t know」になりますね。

じゃあ、次の場合はどうでしょうか。

A:今流れているこの曲の名前知ってる?

B:知らない。

この例の場合、Bは「わからない」で答えることもできるかもしれませんが、「知らない」のほうが自然に聞こえるのではないでしょうか。

このように、「I don’t know」は「わからない」として使われる場合と、「知らない」として使われる場合の2種類あり、日本語を勉強している学生の中にはこれらの違いが理解できないという人もいます。

そこで、今回はこれらの違いを確認することにしましょう。

「わかりません」と「知りません」の違い

違いその1:知識?理解?

まずは次の例文を見てください。

(例文1)
・この機械の使い方がわからないので、教えていただけませんか。

・この機械の使い方を知らないので、教えていただけませんか。

上の2つの例文はどうでしょうか。どちらも違和感が無い文章だと思います。

では、次のような例文はどうでしょうか。

(例文2)
① 説明書を読んだけど、この機械の使い方が(わからない / 知らない)

② 友達が教えてくれたけど、この機械の使い方が(わからない / 知らない)

上の2つの例文はどちらも「わからない」を使いますよね。

上記のように文脈では「知らない」を使うと違和感のある文になり、二つの語の意味に違いがあることがわかります。

その理由して、「知る」は新たに知識などを得ることを表しますが、「わかる」はそれを理解・把握し自らのものとすることに主眼がおかれているためです。

ですから、例文2の場合、友達や説明書から知識を得たものの、それをきちんと理解していないことを意味する発言なので「わからない」が適切です。

●知らない
→知識が無い。

●わからない
→説明してもらったことを理解できない、忘れてしまった。

違いその2:自分のことに使える?使えない?

次に「違いその2」です。

次の2つ例文を見てみましょう。

(例文3)
姉: さっき冷蔵庫に入れておいたプリンが無いんだけど

私: え、知らないよ。(×わからないよ

この例文の場合は「知らない」が適切ですね。「わからない」を使う人はほとんどいないのでは無いでしょうか。

(例文4)
友達:今度の休み、どこ行くの?

私:まだ、わからないよ。(×知らないよ

今度は「わからない」が適切ですね。「知らない」を使うと少し違和感を感じるのでは無いでしょうか。

では、例文3と例文4の違いは何でしょうか? ちょっと考えてみてください。

答えは例文3は「姉(他の人)のこと」について話しているのに対して、例文4は「自分のこと」について話しているということです。

このように他の人のことについて答える場合は「知りません」を、自分のことについて答える場合は「わかりません」を使います。

●知らない
→他の人のことについて答える。

●わからない
→自分のことについて答える。

違いその3:質問の答え方

最後に「違いその3」です。

では、次の例文を見てください。

(例文5)
A: このケーキとっても美味しい!どこの店のか知ってる?

B: ごめん、知らない。(×わからない

この例文の場合は「知らない」を使う人が多いのでは無いでしょうか。

では、次はどうでしょうか。

(例文6)
A:この問題とっても難しいんだけど、わかる?

B:どれどれ・・・、うーん、わかんないなぁ。(×知らないなぁ

今度は「わからない」が適切ですね。「知らない」を使うと違和感を感じるのでは無いでしょうか。

上記のように「知ってる?」と聞かれて、「いいえ」で答える場合「知りません」を、「わかる?」と聞かれて「いいえ」で答える場合「わからない」と答えることが多いです。

●知らない
→「知ってる?」と聞かれ、「いいえ」と言いたい場合、「知らない」を使うことが多い。

●わからない
→「わかる?」と聞かれ「いいえ」と答えたい場合、「わからない」を使うことが多い。



まとめ

今回は「わかりません」と「知りません」の違いを紹介しました。

最後に、それぞれの違いをまとめると以下のようになります。

「わかりません」、「知りません」の違い
  1. 知らない:知識が無い。
    わからない:理解できない、忘れてしまった。
  2. 知らない:他の人について答える時に使う。
    わからない 自分について答える時に使う。
  3. 知らない:「知ってる?」と聞かれ、「いいえ」と言いたい場合、「知らない」を使うことが多い。
    わからない:「わかる?」と聞かれ「いいえ」と答えたい場合、「わからない」を使うことが多い。

日本語を教えられている方で、学生がこれらの違いを理解していない場合は説明してあげてください。